教会界隈 その11 

今は昔、花街の賑わい遠く〜消えた店並み〜

  
 教会界隈
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 教会界隈は、昔から商人、職人、料亭、芸者さんの多く住む賑やかな花街であった。年の瀬ともなれば、風呂敷を担いだ行商の人やキセル掃除の音、箒売りや天秤を担いだ魚屋さんの売り声が町に響いたものだ。殊にも芸者さんが結った日本髪のびんつけの香りがよく、夜になると半纏を纏った鳶色のオジサン、お兄さん達がこどもに拍子木を打たせて火の用心の声が路地を巡っていく。うどん屋の屋台の声がする。いよいよ大晦日ともなれば、あちらこちらの蕎麦屋から湯気が立ちこめ、小僧さんたちがあっちのお家、こっちのお家と出前する。いわば、町人は、この年越しそばを食べるのを楽しみに一年を働く。年越しそばの由来は、昔、砂金を採るのにそば粉で金を採り別けたことから、蕎麦がお金に縁があるという縁起を担ぎ、蕎麦を食べてお金が集まるよう、商売繁盛するよう願って食べるようになったらしい。辰年から巳年に変っていく。

 今は昔、花町の賑わいは消え、職人さん達は姿を隠し、長年商われた店の多くが消えた。遊郭、魚屋、床屋、八百屋、果物屋、豆腐屋、肉屋、紙屋、海苔屋に豆屋、下駄屋、鋳掛屋、薬屋、煙突屋、化粧品屋、パチンコ屋、風呂屋、時計屋、カメラ屋、寿司屋、染物屋、呉服屋、洗張り屋、油屋、提灯屋、骨董品屋、電気屋、経師屋、料亭、置屋、鍵盤、花屋、経木屋、漬物屋、米屋 船大工、桶屋、製パン屋、製麺屋、糸屋、ボタン屋、雑貨屋、古着屋、甘納豆屋、質屋、足袋屋、映画館、瀬戸物屋、本屋、建具屋、仕出し屋、駄菓子屋、布団屋、綿屋、葬儀屋、……、みんな姿がなくなり、駐車場やマンション、それにクリーニング屋さん、整骨院、歯科院、動物美容院、動物病院、スーパーにコンビに、趣のない町に変貌した。